急に退院について話をされた。病院のソーシャルワーカーが苦手…。
はっきり言って何者なの?
今回はそんな方に向けて病院で現役で医療ソーシャルワーカー(MSW)として勤務しているオカマが、MSWの正体と対処法についてお話しようと思うわ。
不快な思いをされている方はワタクシの憶測だけど次のようなことがあったんじゃないかしら?
- 病院のソーシャルワーカーから強引に退院や転院を促された。
- 話し方が高圧的だった。気分が悪くなるような言い方だった。
- 詳しい説明が無く勝手に退院の話を進められた。
こんな思いをされた方、まずは不快な思いをさせてしまってごめんなさい。
そしてもしよければ少しだけ話を聞いて欲しいの。
なぜ退院を急かされるの?
医療ソーシャルワーカー(以下 MSW)や
その他病院のスタッフから早期退院を促されることがあると思うわ。
でもこれはMSWの気持ちで退院を促しているわけではなくて、その地域での病院としての役割があるのと、国の基準によってある程度入院基準や入院期間が決められているの。
地域における病院としての役割って?
病院には毎日救急車で今すぐに治療を行わなければならない方が搬送されてくるわ。
そんな中で病院に入院するためのベッドが空いていないと救急搬送されてくる患者さんを受け入れることができないの。そうなると救急隊の方がもっと遠くの病院を探さないといけないから治療を行うまでの時間がかかってしまうわ。
だから病院は新規の患者さんを受け入れられるように常にベッドに余裕を持っておく必要があるの。
これが病院としての役割ね。
だからある程度治療が落ち着いた患者さんはずっと入院することはできないから、次のステップに進めるように少しずつ今後のことも考えていかないといけないのよ。
国の基準によって入院期間が決まっているってどういうこと?
日本の医療制度では患者さんが患っている傷病名である程度入院期間が決められているの。
この入院期間を超える入院になると一日の費用がかなり下がるから病院の利益がとっても下がってしまうわ。医療費が国の財政を圧迫しているから早期の治療を進めていきましょうという国の方針でもあるのよね。詳しくはDPC制度で調べてみてね。
もちろん主治医がまだ入院治療を必要と判断している方を無理に退院させるなんてことは絶対に無いわ。
退院の話が出ているときはある程度治療が落ち着いているときってことね。
退院や転院・施設探しには結構時間がかかるから、治療が完全に終了していなくてもある程度治療の目処が立ってきた段階で少しづつ退院の準備を進めていく場合もあるわ。
患者さんのことを考えても早期退院が望ましい?
高齢の患者さんが病院という普段の生活とは全く異なる環境で寝ている時間が多いと、認知機能や運動機能の低下が一気に進んでしまうことが結構あるのよ。
ワタクシも実際に患者さんと毎日関わっているけど、日に日に色々なことが分からなくなっていってしまう患者さんを間近で見ていると早く元の生活に戻してあげたいと思うこともあるわ。
あとは医療技術の発展によって昔よりも身体への負担が少なくて短い入院で治療できるようになってきているっていうのもあるわね。
カテーテル治療なんかは日帰りでできるようなものもあるわよ。
MSWって何者なの?
上では治療が落ち着いた患者さんが長期入院できない理由を話てきたわ。
でも色々な理由ですぐに退院できない方もいるわよね。
急に病院から
「治療が終わったから明日退院になります。次のリハビリする場所や施設は自分で探してください。介護のことも自分で調べてください。入院費も退院するときにしっかり払ってください。」
なんてことにならない様に患者さんや家族の相談に乗りながらどんな理由で退院が困難なのか一緒に考えて、必要な制度を案内したり、別の行き先きを提案したりして問題解決していくのがMSWなのよ。
担当のMSWと関わりたくない場合の対処法
基本的にMSWは一人の患者さんに対して一人担当が決まっているわ。
(問題なく退院可能な場合は担当が決まっていない場合もあります。)
その担当者から退院や今後の生活の話をされることはあると思うんだけど、それは治療が落ち着いていて入院期限が迫っているということなの。
だからMSWとの関わりを拒否してもおそらく別の職種の病院スタッフから退院を迫られることになるわ。
それどころかMSWが関わらずに退院となってしまうと、退院後の生活に関する社会資源の話を聞くことができないまま、最悪の場合は強制退院となってしまうこともあるわ。
でもね、MSWの中にも対応があまり良くない人もいると思うわ。
あとはMSWも人だからどうしても合わないって人もいると思うの。
そんなときは他の病院スタッフやMSWの責任者とかに
担当者を変えてほしいって相談するのもひとつの方法かもしれないわ。
過去にうちの病院でも患者さんの家族で
「男性が苦手で安心して相談ができないからMSWの担当を女性スタッフに変更できないか?」
という相談があったわ。
ワタクシじゃなくて別の男性MSWよ?(笑)
ソーシャルワークでは信頼関係を築くことがとても大切だから、もちろん担当変更となったわ。
まとめ
今回はMSWが苦手だし、どんな目的で病院に配置されているかよく分からないって方に向けて話したわ。
病院に入院できる期間はある程度国で定められていて、ずっと入院することはできないということ。
そんな話を病院のスタッフのいずれかが患者家族にしていかないといけないの。
MSWはそんな限られた期間で今後の生活の不安を一緒に考えていく専門職なのよ。
それでもMSWの対応に納得いかない場合は各病院に相談窓口が設けられている場合が多いわ。
職員の対応について・病状や入院生活のことなど総合的な相談を受け付けているから一度病院に問い合わせてみて。
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